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筋トレ初心者の電気工事士が、ダンベルでVAとWを考えてみた。

こんにちは。練馬区桜台の電気工事会社「株式会社KOI-DEN」です。

ブログ担当の私、最近、近所のトレーニングジムに登録しました。

筋トレについては、まだまだ初心者です。

ジムに置いてある器具を見ても、「これはどこを鍛える機械なんだろう?」というところから始まるので、ネットの動画を見ながら種目やフォームを勉強しています。

すると、筋トレ動画に出てくる人たちは当たり前のように大きなダンベルを持っています。

20kg、30kg。

それ以上の重量を扱っている人も珍しくありません。

動画では軽々と上げているように見えますが、

「いや、これは今の自分には無理だな……」

と、自分の能力を思い知らされます。

そんな動画を見ていたとき、電気工事士らしく(?)ふと頭に浮かんだものがありました。

「これ、VAとWの説明に使えないだろうか?」

今回は、筋トレ初心者がダンベルをきっかけに思いついた、VAとWのお話です。

筋トレ初心者の電気工事士が、ダンベルでVAとWを考えてみた。

 

実は以前、「VAとW」を説明するのに苦労したことがあります

なぜダンベルを見てVAとWを思い出したのか。

それには、以前の仕事での経験があります。

私が設計段階から立ち会った店舗工事で、施主様に店舗全体で必要になる電気容量について説明する機会がありました。

店舗には照明だけでなく、空調設備、厨房機器、各種電気機器など、さまざまな負荷があります。

設計する側としては、

「この機器は何A必要なのか」

「こちらは何Wなのか」

「全体では何VAとして考えるのか」

といった数字を整理しながら、分電盤や回路構成、必要な電源容量を考えていきます。

しかし、それをそのまま施主様に説明しようとすると、意外と難しい。

特に、

「WとVAは、数字が似ていても同じものではありません」

という話です。

電気工事に携わっている人にとっては日常的に見る単位ですが、初めて聞く方からすれば、

「どちらも電気の大きさを表しているんじゃないの?」

と思うのは当然です。

そのとき私は、数字や計算式を使いながら説明しました。

ただ、今になって考えると、

もう少し直感的に伝える方法があったのではないか。

そこで思いついたのが、最近始めた筋トレでした。

まず、Wとは何なのか

W(ワット)は「有効電力」を表す単位です。

簡単にいうと、

電気が実際の仕事として使われている部分

です。

照明なら光を出す。

ヒーターなら熱を出す。

モーターなら回転する。

三菱電機の技術解説でも、電力には皮相電力・有効電力・無効電力があり、単相交流では有効電力を「電圧×電流×力率」で表しています。

ここで筋トレに置き換えてみます。

目の前にダンベルがあります。

それを床付近から持ち上げる。

この、

「ダンベルを実際に持ち上げる仕事」

を、ひとまずWのイメージとして考えてみます。

では、VAは何なのか

VA(ボルトアンペア)は「皮相電力」の単位です。

単相交流の基本的な考え方では、

VA = V(電圧)× A(電流)

となります。

富士電機も、皮相電力を電圧と電流の積で求め、単位をVAとしています。

ここで大切なのは、VAとWが必ず同じ数字になるわけではないことです。

力率を含めて考えると、基本的には、

W = VA × 力率

という関係になります。

例えば、

1000VAで力率80%なら、

1000VA × 0.8 = 800W

です。

富士電機のUPS容量算定資料でも、皮相電力をVA、消費電力をWとして別々に算出し、W=VA×力率という関係が示されています。

ダンベルを持っている身体全体を想像してみる

ここでもう一度、筋トレに戻ります。

ダンベルを持ち上げるとき、仕事をしているのは腕だけでしょうか。

実際には肩を安定させ、体幹で姿勢を維持し、場合によっては脚にも力を入れています。

つまり、

目に見えている「ダンベルを持ち上げる動作」以外にも、身体全体には負担がかかっています。

そこで、あくまでイメージとして、

ダンベルを実際に持ち上げる仕事=W

その仕事を成立させるために身体全体で受け持っている負担=VA

と考えてみます。

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もちろん、人間の筋肉と交流回路が同じ仕組みという意味ではありません。

電気的には、有効電力・無効電力・皮相電力には明確な関係があり、三菱電機の解説では単相交流の場合、皮相電力をVI、有効電力をVI cosφ、無効電力をVI sinφとして表しています。

ダンベルの話は、あくまで最初のイメージをつかむための例えです。

なぜ電気工事ではVAとWを分けて考えるのか

ここからが、店舗などの電気設備を考えるうえで大切なところです。

例えば店舗には、

  • 照明
  • エアコン
  • 冷蔵庫・冷凍庫
  • ポンプ
  • 換気設備
  • 厨房機器
  • 各種モーター
  • OA機器
  • その他の設備機器

など、さまざまな負荷があります。

機器によって、仕様書に記載されているものも違います。

Wで書かれているもの。

VAで書かれているもの。

電圧と電流値が記載されているもの。

さらにモーターなどでは、力率だけでなく始動時の電流も考える必要があります。

三相モーターの場合、有効電力は「√3×線間電圧×線電流×力率」、皮相電力は「√3×線間電圧×線電流」となります。

だから、

「この機械は1000Wだから、電源側も1000だけ考えればいい」

とは限りません。

電気設備を設計するときには、機器の仕様を確認したうえで、電流、力率、負荷の種類、始動特性、同時使用の状況なども考えながら回路や設備容量を検討します。

これはダンベルで言えば、

ダンベルに書いてある「20kg」という数字だけを見て、人間側に必要な能力をすべて判断するわけにはいかない

という感覚に少し似ています。

「1000です」だけでは電気屋には伝わらない

現場では数字だけが一人歩きすることがあります。

「この機械、1000です」

と言われたとします。

電気屋としては、

「1000何ですか?」

となります。

1000Wなのか。

1000VAなのか。

100Vなのか。

場合によっては1000Wという「消費電力」と、機器を接続する電源回路を検討するために必要な情報は別にあります。

設計段階から関わった店舗で施主様への説明に苦労したのも、まさにこの部分でした。

専門家同士なら、

「これは○○VAです」

「力率はこれくらいです」

「この回路は○A必要ですね」

で話が進みます。

しかし施主様が知りたいのは計算式ではありません。

「結局、この店でこの機械を全部使って大丈夫なの?」

ということです。

専門家には、正しく計算するだけでなく、

その意味を相手に理解できる言葉へ変換することも必要なのだと思います。

今回、ダンベルを見ながらVAとWについて考えたことで、以前の自分なら、もう少し分かりやすく説明できたかもしれないと思いました。

電気設備にも、人間にも「容量」がある

店舗の分電盤にも、電線にも、ブレーカーにも容量があります。

接続する機器を何でも増やしていいわけではありません。

そして最近、筋トレを始めて分かったのですが、

どうやら人間にも容量があります。

ネットの動画では、ものすごく大きなダンベルを軽々と扱っている人がいます。

同じようにやってみたい気持ちはあります。

しかし今の自分では、とても無理です。

VAとWの関係については、今回あらためて整理することができました。

一方で、自分自身の設備容量についても理解が深まりました。

僕という電気設備は、まだ完全に容量不足です。

主幹ブレーカーだけ大きくして解決する問題でもなさそうです。

どうやら、

まず幹線から鍛え直す必要がありそうです。

電気設備も筋トレも、無理な負荷をかけず、適切な容量で。

株式会社KOI-DENでは、店舗・テナント工事をはじめ、電気設備の設計・施工についてご相談を承っています。

「新しく導入する機器に対して、現在の電気容量で足りるのか」

「店舗全体ではどのくらいの電源容量を考えればいいのか」

「機器を増やしたいが、既存の分電盤や回路のままで大丈夫なのか」

といった場合も、機器の仕様や使用状況を確認しながら検討していきます。

設備を増やしてから容量不足に気付くのではなく、計画段階から電気について整理しておくことが大切です。

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