-
最近の投稿
アーカイブ
カテゴリー
投稿日カレンダー
こんにちは。練馬区桜台の電気工事会社「株式会社KOI-DEN」です。
建設業界では、ときどき、
「これからの職人にはコミュニケーション能力も必要だ」
という話を聞きます。
確かに、その通りだと思います。
ただ、現場代理人を経験したときから、私はこの言葉に少し違和感も持っていました。
そもそも、職人という仕事を選んだ人全員が、
「人と話すことが得意です」
「調整や交渉が好きです」
というタイプである必要があるのでしょうか。
もちろん、職人だからコミュニケーションが苦手だと決めつけるつもりはありません。
人と話すのが好きな職人さんもいますし、説明が非常に上手な人もいます。
ただ、ものづくりの仕事には、
「自分の手で何かをつくることが好き」
「技術を身につけたい」
「黙々と作業することが苦にならない」
という理由で入ってくる人も多いはずです。
そういう人に対して、経験を積んだからという理由だけで、
「明日から職長だから、人をまとめてください」
「現場代理人だから、監督や施主とも調整してください」
と言っても、簡単な話ではありません。
私はむしろ、
なぜ職人が上の立場になると、急にコミュニケーション能力を求められるのか。
そこを考えた方が、この問題は分かりやすいと思っています。

目次
例えば、電気工事士として施工するだけであれば、
図面を理解し、
正確に施工し、
安全を守り、
決められた工程の中で仕事を終わらせる。
まず求められるのは、こうした施工能力です。
ところが職長になると、自分の施工だけを考えていればよいわけではありません。
誰に何をやってもらうのか。
今日どこまで進めるのか。
他業種と作業がぶつからないか。
材料は足りているか。
若い職人が作業を理解しているか。
危険な作業になっていないか。
考える対象が一気に増えます。
厚生労働省も、職長を「作業中の労働者を直接指導又は監督する者」と位置づけています。つまり、職長になった時点で仕事の対象は「自分の施工」から「人を含めた施工」へ広がります。
さらに主任技術者や監理技術者になると、施工計画、工程管理、品質管理に加え、施工に従事する人への技術上の指導監督まで職務に含まれます。
法律に「コミュニケーション能力」という言葉が書いてあるわけではありません。
しかし、
人を指導する。
工程を調整する。
他社と施工範囲を確認する。
問題が起きたときに説明する。
これらを実行しようとすれば、必然的にコミュニケーションが必要になります。
私自身、以前に現場代理人を担当したことがあります。
そこで感じたのは、
現場代理人は、自分が一番上手に施工できれば成立する仕事ではない
ということでした。
職人さんには職人さんの考えがあります。
監督には監督の考えがあります。
他業種には他業種の工程があります。
そして施主には、当然ながら施主の要望があります。
それぞれ見ているものが違います。
例えば電気工事としては正しい施工方法であっても、
内装工事との工程が合わなければ施工できません。
現場側では問題のない変更でも、
施主には「なぜ変更するのか」を説明する必要があります。
職人には、
「ここをこう施工してください」
だけではなく、
「なぜ今ここを優先する必要があるのか」
まで伝えなければ動きづらい場合もあります。
つまり現場代理人の仕事には、
技術と技術の間をつなぐ仕事
と
人と人の間をつなぐ仕事
の両方があります。
そこで初めて私は、
「コミュニケーション能力が必要」と言われる理由がよく分かりました。
私の場合、もともとは飲食業界にいました。
店舗運営や接客など、いわば「人と接する側」の仕事を長く経験してから電気工事の世界に入りました。
そのため、電気工事を始めた頃から意識していたことがあります。
現場の施工技術では、当然ながら昔から職人をしている人には敵いません。
そこで、
それまでの仕事で身につけた能力を、電気工事の世界でどう使うか
を考えていました。
お客様への説明。
電話対応。
職人への伝え方。
価格や条件の交渉。
他業種との調整。
問題が起きたときの説明。
こうしたことは、電線をつないだり、配管したりする技術とは違います。
しかし、現場を動かすうえでは確実に必要になります。
だから私は、施工技術を覚えるのと同時に、
自分がもともと持っていたコミュニケーション能力を、現場で使える能力に変えること
を意識していました。
ここでいうコミュニケーション能力は、
明るく話せることでも、
雑談が得意なことでも、
誰とでもすぐ仲良くなれることでもありません。
現場で重要なのは、
必要な情報を、必要な相手に、必要な形で伝えられること。
だと思っています。
職人に伝えるなら、施工方法と工程。
監督に伝えるなら、進捗と問題点。
施主に伝えるなら、専門用語をかみ砕いた説明。
会社に伝えるなら、原価や工期、リスク。
同じ出来事でも、相手によって必要な説明は違います。
これはある意味、
「翻訳する能力」
に近いのかもしれません。
そして、この能力は生まれつきの性格だけで決まるものではありません。
必要なことを整理して伝える。
相手の話を確認する。
認識が合っているか復唱する。
問題が起きる前に共有する。
こうしたことは、技術と同じように訓練できます。
私が特に大事だと思っているのは、ここです。
仕事をしていると、
「会社で評価されるか」
を気にしがちです。
もちろん、それも重要です。
しかし長く働くことを考えるなら、
「この会社で評価されるか」だけではなく、「この業界で自分はいくらの価値があるのか」
という物差しも持っていた方がいいと思います。
施工ができる。
図面が読める。
見積りができる。
職人をまとめられる。
工程を組める。
他業種と調整できる。
施主に説明できる。
後輩を育てられる。
パソコンを使って業務を整理できる。
一つひとつは別々の能力です。
しかし、それらを複数持っている人は、
「電気工事ができる人」から、「現場や会社を動かせる人」へ変わっていきます。
現在、建設業では60歳以上の技能者が約4分の1を占める一方、29歳以下は約12%とされ、国も人材確保・育成を大きな課題として位置づけています。
建設キャリアアップシステム(CCUS)の能力評価でも、上位レベルでは職長・班長としての就業実績が求められています。技能者のキャリアが、施工経験だけでなく「人を率いる経験」へ広がっていく構造は、制度上にも表れています。
だからこそ、
これからの職人が考えるべきなのは「何年この会社にいたか」だけではなく、「会社の外へ出ても通用する能力を何個持っているか」ではないか。
私はそう考えています。
現在の私は、株式会社KOI-DENでバックオフィス業務にも携わっています。
書類を整理したり、
情報管理の仕組みを考えたり、
業務を効率化したり、
Web上で情報を発信したり。
電線を引いているわけではありません。
それでも、以前に現場を経験したこと。
飲食業で接客や店舗運営を経験したこと。
現場代理人として人をまとめたこと。
パソコンを使った業務を覚えたこと。
それらが組み合わさって、今の仕事につながっています。
昔の自分から見れば、
「そんな仕事が電気工事業界の中にある」とは考えていなかったと思います。
でも、自分の仕事を「電気工事だけ」と決めなければ、経験の使い方はいくらでもあります。
もちろん、職人にとって施工技術が重要なのは変わりません。
どれだけ話が上手でも、施工できなければ職人として仕事は成立しません。
ただ、
施工技術がある人に、もう一つ別の能力が加わると、市場価値は大きく変わります。
人をまとめられる。
説明できる。
図面を書ける。
見積りができる。
施工管理ができる。
ITを使える。
営業ができる。
何を追加するかは、その人次第です。
全員が同じタイプになる必要はありません。
むしろ、
自分が持っている強みを、電気工事という専門技術とどう組み合わせるか。
そこを考える方が重要だと思います。
「コミュニケーションが苦手だから職人を選んだのに」
という人まで、無理に営業マンのようになる必要はありません。
ただし、職長や施工管理、現場代理人という立場になるなら、
人と仕事をつなぐ技術も、施工技術の一部になっていく。
これは私自身、現場に立って強く感じたことです。
会社の中での肩書きだけではなく、
業界全体を見たときに、自分は何ができる人なのか。
その視点を持って経験を積み重ねることが、長くこの業界で生きていくための一つの方法なのではないでしょうか。
株式会社KOI-DENでは、電気工事そのものだけでなく、現場での調整や施工管理、情報共有まで含めて仕事を進めています。
設備や施工について相談する会社を探している企業様、店舗・テナント工事をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。