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こんにちは。練馬区桜台の電気工事会社「株式会社コイデン」です。
「自転車をこぐと電気が作れる」──これは理科の授業やテレビの実験でよく耳にするフレーズです。実際、人力でどのくらいの電力が得られるのでしょうか?
この記事では、電気工事士の視点から 競輪・ロードレース・マウンテンバイク・BMXストリート の4種目を例に、競技中の走行をもし発電に使ったらどのくらいの電力量になるのかを解説します。さらに、その電力で家庭用冷蔵庫がどれくらい稼働できるのかも表にまとめました。
目次
一般的に、成人がエアロバイクをこぎ続けた場合の発電量は以下のようになります。
普通の人が軽くこぐ → 50〜100W
本格的なアスリートが全力でこぐ → 300〜500W
世界トップクラスのスプリンター → 1,000W以上(短時間)
ただし、これは「瞬間最大出力」と「持続可能な平均出力」で大きく差があります。冷蔵庫などの家電を動かすには「持続可能な出力」で考える必要があります。
競輪選手は短時間で爆発的なスプリント力を出すのが特徴。
瞬間最大出力:1,200W以上
持続平均(1分程度):600〜800W
👉 発電量は非常に大きく、他競技を圧倒。
長時間の持久走行に特化。
瞬間最大出力:800〜1,000W
長時間平均(1時間以上):250〜350W
👉 安定して発電でき、現実的に最も「電力向き」。
未舗装路を登坂・下りで繰り返す競技。瞬発力と持久力が両立。
瞬間最大出力:600〜800W
平均:200〜300W
👉 坂道での出力は大きいが、下りではほぼゼロ。
技やジャンプ中心のため、ペダリング自体は短時間。
瞬間最大出力:400〜600W
平均:100〜150W
👉 発電効率としては最も低い。
競輪(爆発力が桁違い)
ロードレース(長時間安定)
マウンテンバイク(変動は大きいが高出力も可能)
BMXストリート(ペダル時間が少ないため低出力)
家庭用の一般的な冷蔵庫(消費電力:100W前後)を基準に、「1時間こぎ続けた場合の稼働時間」を計算してみましょう。
自転車競技 | 平均発電量(W) | 1時間の発電量(Wh) | 冷蔵庫稼働時間(目安) |
---|---|---|---|
競輪 | 700W | 700Wh | 約7時間 |
ロードレース | 300W | 300Wh | 約3時間 |
マウンテンバイク | 250W | 250Wh | 約2.5時間 |
BMXストリート | 120W | 120Wh | 約1.2時間 |
※効率ロス(発電機変換効率70%程度)を考えると、実際の稼働時間はさらに2〜3割減少します。
人間が出せる電力は限られています。
例えば、家庭全体の平均電力消費は 400〜500W。つまり、ロード選手が1時間こいでやっと「家庭全体の1時間分の電力」に届くレベルです。
人力発電は「省エネ家電1台を少し動かせる程度」であり、現実的には「自転車を漕いで家電をまかなう」のは効率的ではありません。
しかし、こうした試算を知ることで「電気がいかに貴重か」「普段使っている電力量の大きさ」が実感できます。
競技ごとに発電量は大きく異なり、競輪>ロードレース>マウンテンバイク>BMX の順。
競輪選手なら1時間で冷蔵庫7時間分、ロードレーサーなら3時間分程度の発電が可能。
家庭の消費電力をまかなうには到底足りず、人力発電は「実験や教育的価値」が大きい。